デジタルツインについて考えてみる


一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
法定図書を活用したデジタルツイン基盤整備に関する研究会 事務局
中田 隆司 / 山本 尉太

1.はじめに
 皆さんは、「デジタルツイン」という言葉を聞いてどのようなイメージを思い浮かべますか。総務省が発行する令和6年度版情報通信白書では、デジタルツインを「現実世界から集めたデータを基に、仮想空間上に現実の双子(ツイン)を構築し、さまざまなシミュレーションを行う技術」と定義しています。国土交通省都市局では、「Project PLATEAU」を通じて都市の3Dモデルを活用した社会実装によりデジタルツインの実現を推進しています。

2.利用ニーズにより必要となるデジタルツインは様々
 では、現実世界をデジタル空間上に再現(構築)するとは、どういうことでしょうか。例えば、日照シミュレーションをしたいと思う人にとっては、周辺住宅、道路、公園、地形(山)など、日時や季節ごとの太陽の位置(軌道)を考慮した日影や日照時間の解析に必要な情報が含まれているものがデジタルツインになります。

図1:日照シミュレーションに必要な3Dモデル(デジタルツイン)の例
(画像は、Microsoft Copilot(生成AI)により作成)

 例えば、ロボットが安全に移動できる歩行者ネットワークが欲しい人にとっては、歩車道区分や歩道幅員、勾配、段差・階段・スロープなど、ロボットが走行可否を判定することができる情報が含まれているものがデジタルツインになります。

図2:ロボットの安全移動に必要な3Dモデル(デジタルツイン)の例
(画像は、Microsoft Copilot(生成AI)により作成)

 ここで、大事なことは、デジタルツインは、幾何形状だけではないことです。幾何形状が3次元(立体)または時間変化をともなう4次元ということだけではなく、歩道幅員や勾配などの幾何形状以外の属性情報をもつことが大事なことです。地理情報標準では、幾何形状と属性及び時間を「空間属性」「主題属性」「時間属性」の3つに分類整理しています。立体形状だけの「絵」ではなく、様々な属性情報も含まれていること、まさに、「地理空間情報」であることが大事な点です。例えば、建物の地上からどれくらいの高さにある又は階数などは、幾何形状から推測することができる場合もあります。
 一方で、建物の建築年数や耐震性、構造(木造/コンクリート)、用途、延床面積などは、必ずしも幾何形状だけでは判断できないことがあります。例えば、災害発生時に瓦礫の撤去を行う際には、廃棄場所を確保するため、事前に発生する瓦礫量をシミュレーションしておく必要があります。そのためには、建物が鉄筋コンクリート造か木造か、また何階建てであるかといった建築物の属性情報を把握しておくことが重要となります。こうした情報を建物の属性情報として備えておくことで、より迅速にかつ正確にシミュレーション結果を得ることができます。

3.最小公倍数と最大公約数
 地理空間情報活用推進基本法では、「現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を実現する上で地理空間情報を高度に活用することを推進することが極めて重要である」ことや、「地理空間情報の活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること」を定めています。第5期の地理空間情報活用推進基本計画 骨子(案)では、「3次元・4次元データとAIにより、デジタルツインを本格実装」するとされています。
 単一のニーズでつくられたデジタルツインでは、地物や属性情報が少なく再利用することにも限界があります。多目的な利用ニーズを満たすためにより多くの地物や属性がデジタルツインに含まれていなければなりませんが、「だれが」「どうやって」構築するのか、また、「だれが」「どうやって」「いつ(どれくらいの頻度で)」更新するのか、といったこととバランスをもって決めていく必要があります。

4.デジタルツインはどこから入手できるか
 仮に、何らかの手段や役割で一定のニーズを満たすデジタルツインがつくられたとき、「どこから」入手するのか、「どうやって」利用するのか、といったことも事前に取り決めておくことが大事です。第5期の地理空間情報活用推進基本計画 骨子(案)では、“様々な地理空間情報の有効活用と流通促進を図り、社会課題を解決するアクターの支援を行うためのデータ流通支援プラットフォームである「G空間情報センター」を、信頼性のあるデータが集約されたデータスペースとして機能強化。”とされています。
 何はともあれ、G空間情報センターを訪れてみる。そうすると、デジタルツインだけでなく、様々な地理空間情報がどこにあるかわかる、情報によっては直接入手(購入も含め)することができる。G空間情報センターは、こうした地理空間情報の流通社会のハブ的な役割を実現していきたいと考えています。

図3:G空間情報センターが目指す社会機能

 次回は、デジタルツインの整備方法を考えるきっかけとして、国・地方公共団体が整備・維持更新する図面(法定図書)について話題提供したいと思います。

■本件お問い合わせ先
自治体保有法定図書を活用したデジタルツイン基盤整備に関する研究会
事務局 中田隆司 山本尉太
Mail:ryu.nakada@aigid.jp jota_yamamoto@aigid.jp

(2026年10月 メールマガジン掲載)

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