3D河川管内図による河川管理の効率化・高度化 -鈴鹿川・雲出川・櫛田川・宮川における取組-


日本工営株式会社 大阪支店 基盤技術部
田淵 太雅

1.3D河川管内図を用いた業務効率化
 国の河川管理の現場では、施設の維持管理をはじめ工事履歴・施設台帳の確認、問い合わせ対応、距離・面積の計測、災害時の状況把握など、位置情報を起点とした業務が数多く存在します。一方で、必要な資料が紙であったり、共有フォルダや個別システムに情報が分散していたりする場合は、必要な情報の検索や関係者間の情報共有に時間を要することが問題となっています。
 こうした問題に対し、国の河川事務所から弊社が受託した業務において、地形・施設・工事・防災等の情報を地図上に重ね合わせ、業務効率化のために「3D河川管内図」を構築しました。
 3D河川管内図は、航空レーザ測量による地形データ・オルソ画像・河川距離標・管理施設・工事履歴・ボーリング位置・浸水想定区域など、異なる種類の情報を位置情報で結び付けるGIS基盤として構築しました。レイヤーを切り替えることで、同じ場所を「地形」「施設」「工事履歴」といった複数の視点から確認できます。
 また、地物を選択して属性情報を表示するポップアップ、河川名や施設名等による検索、距離・面積の計測、任意区間の標高断面表示、写真や図面へのリンクなどを組み合わせることで、地図を閲覧するだけでなく、必要な情報へ迅速にアクセスできるため、流域住民や河川利用者からの問い合わせ対応や現地確認などの業務効率化につながります。

図1:3D表示した地図

 3D河川管内図構築に当たっては、河川管理に携わる職員へのヒアリングや操作説明を通じて、業務上の課題と利用場面を整理しました。その結果、すべてを一つの3D画面に詰め込むのではなく、用途に応じて2D地図、3D地図、入力フォームを使い分け、ポータルサイトを入口として、目的に応じたシステムへ容易にアクセスできる構成としました。

図2:3D河川管内図の構成


2.データの更新方法
 3D河川管内図は、工事の完成、施設諸元の変更、測量成果の追加などに応じて、継続的に更新していく必要があります。そこで、職員の負担を抑えながら運用できるよう、所管部署、更新頻度、過去データの蓄積方針を整理し、職員、および工事・業務委託事業者の作業区分を明確化しました。また、データ更新方法のマニュアルを作成することで、システム利用になれていない職員でも容易に作業が可能となるように資料を整備しました。

図3:データ更新作業工程、及び作業分担イメージ
※黄色マーカー部分:職員による対応 青マーカー部分:工事・業務委託事業者での対応

 本取り組みにより、これまで分散管理されていた河川管理情報や工事、施工情報を一元的に管理、活用できる環境を整備しました。今後は、運用を通じて利用場面の向上を図るとともに、継続的なデータ蓄積、更新による河川管理業務のさらなる効率化と高度化に貢献していきます。

■ 本記事に関する問い合わせ先
日本工営株式会社
大阪支店 基盤技術部 田淵 太雅
E-mail:a9561@n-koei.co.jp

(2026年9月 メールマガジン掲載)

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