AIが変える行政データ活用のかたち── 国土交通データプラットフォームとMCPサーバーが拓く、データ連携の新時代 ──

パシフィックコンサルタンツ株式会社
デジタルサービス事業本部 榎本真美
私たちパシフィックコンサルタンツとAIGIDは、国土交通省からの委託を受け、「国土交通データプラットフォーム(以下、国土交通DPF)」のデータ連携・運用に携わっています。国土交通DPFは、道路・橋梁・地盤・防災・交通など、これまで個別に管理されていた国土交通分野のデータを一元的に検索・取得できるデータ連携基盤です。さらに2025年11月には、AIを使って自然な言葉でデータを検索・取得できる「MCPサーバー」の提供も開始されました。本記事では、国土交通DPFの概要から最新のAI連携の動きまで、実務に役立つ情報をお伝えします。

画像1:国土交通データプラットフォーム
1.国土交通DPFとは──23システムが終結
国土交通DPFは、国土交通省が2020年4月から公開しているデータ連携基盤です。道路・橋梁・トンネルなどの構造物データ、地盤・地形の情報、交通量や人流データ、3D都市モデル(PLATEAU)、防災情報など、国土交通分野の多種多様なデータベースを一か所に集約し、横断的に検索・表示・ダウンロードできる仕組みを提供しています。
これまでは「道路の点検データはこのサイト」「地盤情報はあのサイト」と、目的ごとに異なるデータベースを探し回る必要がありました。国土交通DPFはそうした手間を一気に解消し、ひとつの入口からインフラ分野のデータにアクセスできる「インフラデータのハブ」として機能しています。
URL:https://data-platform.mlit.go.jp
2.BIM/CIMや図面の活用──
国土交通DPFの大きな特徴のひとつが、「電子納品保管管理システム」との連携です。約14.7万件の業務・工事の概要を調べることができます(2025年時点)。工事・業務について、関連するBIM/CIMモデル(IFC形式)やCAD図面(P21形式)が公開されており、個別のファイル単位でダウンロードすることが可能です。

画像2:設計業務のBIM/CIMモデル
3.MCPサーバー ── AIによるデータ活用
国土交通DPFには、これまで2つのアクセス手段がありました。ひとつはWebブラウザで操作する「GUI」、もうひとつはシステム間連携のための「API」です。そして2025年11月、3つ目の入口として「MLIT DATA PLATFORM MCP Server」が無償で公開されました。
MCP(Model Context Protocol)とは、AI(大規模言語モデル)と外部のデータやツールを接続するための標準的な仕組みです。このMCPサーバーを使うと、Claude DesktopなどのAIアプリケーション上で「○○駅の近くの避難所データを教えて」「△△市の橋梁点検結果を架設年順にリストにして」といった自然な言葉を入力するだけで、国土交通DPFのデータを検索・取得できます。
これまでAPIを活用するには、プログラミングの知識が求められ、IT技術者以外にはハードルが高い面がありました。MCPサーバーの登場により、API仕様を知らなくても、普段の言葉でデータにアクセスできるようになります。自治体の現場担当者や、プログラミングに馴染みのない方にとって、データ活用の可能性が大きく広がる仕組みといえます。
MCPサーバーはGitHubでオープンソースとして公開されています。
GitHub:https://github.com/MLIT-DATA-PLATFORM/mlit-dpf-mcp

画像3:MCPサーバの利用イメージ
4.おわりに ── まずは触れてみてください
国土交通DPFは公開以来、データの拡充と機能強化を重ねてきました。32のデータカタログとの連携により、インフラの維持管理、防災対策、交通計画、まちづくりなど多様な業務の基盤データにワンストップでアクセスできる環境が整ってきています。そして、MCPサーバーの公開により、「AIに聞くだけでデータが手に入る」という新しい利用体験が生まれつつあります。
自治体の皆様にとっては、施設の維持管理計画の策定や災害リスクの把握、住民向けの情報提供など、日常業務のさまざまな場面でデータ活用の可能性があります。建設・インフラ関連の民間企業の皆様にとっても、現場調査の事前情報収集や業務の効率化、新規事業のマーケットリサーチなど、活用の幅は広がります。
国土交通省では、DPFの利活用促進に向けた実証調査の公募(第2期)を行い、官学民の連携によるAIやデータ活用に取組んでいます。まずはぜひ一度、国土交通DPFにアクセスして、お手元の業務に関連するデータを検索してみてください。
■お問合せ先
パシフィックコンサルタンツ株式会社
デジタルサービス事業本部 情報事業部
E-mail:dpf_pckk@tk.pacific.co.jp
■関連リンク
国土交通データプラットフォーム:https://data-platform.mlit.go.jp
国土交通DPF MCPサーバー(GitHub):https://github.com/MLIT-DATA-PLATFORM/mlit-dpf-mcp
国土交通省 技術調査(国土交通DPF関連):https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000066.html
(2026年3月 ニュースレター掲載)