公共交通データの利活用を促進する「GTFSデータリポジトリ」のご紹介

一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
榎本真美
一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(以下、AIGID)が運用するサービス「GTFSデータリポジトリ」では、コミュニティバスを運行する市町村や交通事業者等が整備した、バス等の公共交通データをGTFS形式で公開しています。このリポジトリに登録されたデータはオープンライセンスである為、誰でも自由にダウンロードまたはAPIを使って利用することが可能です。2024年7月現在、280の自治体や事業者がGTFSデータリポジトリを用いてデータを公開しています。
1.公共交通分野のオープンデータ
バス業界を中心に、GTFS(General Transit Feed Specification)というデータフォーマットで、路線や時刻表などの交通情報の整備・公開が進んでいます。GTFS形式のデータは、バス停の名称や位置・路線・時刻表・料金表等を決められた構成のCSV形式に格納し、それらを一つのZIPファイルにまとめたものです。国土交通省により日本国内の標準形式として採用され、GTFS形式のデータ整備とオープンデータ化が年々広がっています。これらのデータは、経路検索やデジタルサイネージのほか、交通計画の分析など様々な用途で利活用されています。
図1:GTFSデータリポジトリ登録されているフィード一覧
2.GTFSデータリポジトリとは
AIGIDでは、GTFSデータを容易に公開・取得可能となるよう、2023年4月から「GTFSデータリポジトリ」を運用しています。英語で「repository」は「倉庫」「保管場所」を意味し、GTFSデータリポジトリは、GTFS形式の公共交通データを保存・共有するサービスです。
バス等の公共交通を運行する自治体や事業者は、作成したGTFSデータをリポジトリにアップロードできます。アップロードしたデータは時系列で保存される為、時刻表改正前や後の情報を含む過去~現在~将来のGTFSデータの保管場所としても利用できます。アップロードされたデータはオープンデータとして公開され、誰でも自由に利活用することが可能です。
なおGTFS形式であれば、バス以外に鉄道・路面電車・船舶などのデータも登録・公開が可能です。
図2:登録されたGTFSデータの詳細情報
データはオープンライセンスで公開されており、商用利用を含む様々な用途に活用頂けます。固定URLで当日のデータを指定して取得できる為、デジタルサイネージなどのシステムと自動連携にも利用できます。
3.QGISプラグイン「GTFS-GO」
QGISは、無料で使えるオープンソースのGISです。プラグイン「GTFS-GO」(開発:MIERUNE社)を用いることで、GTFSデータリポジトリに登録されているデータを数クリックでQGISの地図上に読み込むことが可能です。地域の公共交通計画や分析に、ぜひご活用ください。
図3:QGISプラグイン「GTFS-GO」の利用イメージ
4.今後に向けて
現在AIGIDは、(一社)日本バス情報協会のご協力のもとGTFSデータリポジトリサービスの管理・運用を行っています。データ登録者とデータ利用者の双方の利便性が向上するよう、継続した運用とサービス向上に努めGTFSデータの普及促進に寄与できればと考えています。
また、GTFSデータの整備や公開を検討されている自治体・交通事業者のご担当者様に向けて、GTFSデータリポジトリのWebサイトでは、本サービスの概要やデータの登録・公開方法を紹介しています。GTFSデータリポジトリにデータを登録することで、利用されやすい一元的な方法でデータが配信され、データ管理や公開の省力化と利用拡大が見込めます。ぜひご参照ください。
■お問い合わせ:
GTFSデータリポジトリ事務局(担当:榎本 gtfs-office[at]aigid.jp)
(2024年7月 ニュースレター掲載)