令和6年能登半島地震における対応について

一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
大伴真吾
令和6(2024年)年1月1日16時10分頃に最大深度7の能登半島地震が発生し、これによる建物倒壊、土砂崩れ、津波等により多くの人命が失われました。道路や水道等のインフラも大きな被害を受け、救難捜索や復旧にも大きな支障となりました。ここにお亡くなりになった方のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方にお見舞い申し上げます。
一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(以下、AIGID)では、2019年より救難・復旧・復興に役立てていただく為、リアルタイム災害情報をG空間情報センターWebサイトにて提供しています。提供される情報には、発災後に取得した被災状況・車両通行実績・行政が提供する(浸水想定区域等の)ハザード情報等があり、能登半島地震の際にも、約1か月にわたり、毎日最新のデータを提供しました。
図1:G空間情報センターWebサイト上にある『リアルタイム災害情報』メニュー
図2:リアルタイム災害提供システムトップページ
AIGIDでは、能登半島地震が発生した4時間後にリアルタイム災害情報提供システムを立ち上げ、発災前日12月31日における24時間通行実績マップを公開しました。1月1日の通行実績マップを翌1月2日に追加するとともに、災害救助法が適用された石川県を含む4県47市町村の防災対策窓口に対して地図情報提供の案内を行い、同時にX及びG空間情報センターのNEWSでもこの取り組みを紹介しました。
1月3日には、引き続き前日の通行実績マップを追加し、1月2日に航空測量会社が撮影した航空機からの斜め写真を掲載、更に災害時における被災地への情報支援を行うボランティア組織N2EMが提供する市町村単位の住家被害情報の提供も行いました。これらのデータの掲載情報もX及びG空間情報センターでその都度紹介いたしました。
1月4日には、国土地理院から公開された津波浸水域・斜面崩壊等のコンテンツを追加する等、1月末まで掲載可能なデータを地図情報として日々更新しました。
図3:航空測量会社が提供した斜め写真表示例(リアルタイム災害情報提供システム)
リアルタイム災害情報は、2021年7月の発生した静岡県熱海土石流被害の際に提供した3次元点群データが、2次災害の防止、災害規模の把握及び崩壊原因の特定に大いに貢献した実績があります。
今回の能登半島地震では、石川県が森林資源の調査のために取得していた3次元点群データの所在を把握し、AIGID、静岡県及び静岡点群サポートチームが協力して石川県にこのデータの提供を依頼。その結果、非商用利用を条件として、G空間情報センターから3次元点群データ・写真地図画像データ・微地形表現図データの3種類を提供することができました。
この時提供した3次元点群データには色情報が付いていなかった為、東京都が色情報を付加、2月2日にG空間情報センターからこのデータを提供することに加えて、東京都デジタルツインビューアで3次元表示できるサイトも公開しました。
なお、G空間情報センターが公開した石川県のデータはこちらから一覧表示することができます。
図5:東京都デジタルツインビューアによる3次元点群データ表示(珠洲市付近)
AIGIDでは、災害時にこのような様々なデータをできるだけ早く収集・提供・活用できるようにすることで、被災地の活動支援はもちろん研究・企業活動等に役立つようなポータルサイトを目指しています。ぜひ、今後のAIGIDの活動にご期待ください。
■本件お問い合わせ先
民間事業者によるリアルタイム災害情報提供研究会事務局
Mail:disaster-info@aigid.jp
(2024年5月 ニュースレター掲載)