衛星で斜面やインフラをモニタリングするサービス「LIANA(リアーナ)*1」 ~インフラ施設管理者の予防保全をサポート~

日本工営株式会社
基盤技術事業本部 衛星情報サービスセンター
中川 和男
*1 LIANA:Land-deformation and Infrastructure ANAlysis.商標登録済
本記事では、ダム・河川や道路など社会資本整備に携わっている日本工営株式会社(以下、弊社)がご提供する、衛星を活用して斜面やインフラ施設の変動リスクをモニタリングすることで、防災分野等で活躍するサービス「LIANA(リアーナ)」(以下、本サービス)をご紹介します。
1.LIANAとは?
本サービスは、企業や自治体、国の各インフラ施設管理様向けに、面的に広がるインフラ施設を一度に広域かつ低コストでモニタリング可能とするものです。
2.サービスの背景となる社会的課題
道路事業や電力事業等のインフラ維持管理において、広域的かつ同時多発的に発生する豪雨災害による斜面災害や、高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化が大きな社会問題となっています。加えて、対策に係るコストや人手不足の課題も深刻です。このような課題に対し、各インフラ施設管理様に本サービスを利用いただくことで、平常時からの予防保全の意思決定をサポートし、災害に対する不安低減、安全な街づくりに貢献します。
3.サービスの特徴
本サービスは、衛星事業・地図情報・建設コンサルタント各分野の国内最大手である3社(図1参照)が業務提携し、開発しています。衛星画像を活用することで、測量だけでは把握しきれなかった数十キロメートル四方の広域エリアを、一度にスクリーニングできるため、これまでインフラ施設管理者が保守および点検にかけてきたコストを低減することが可能です。
図1:三社の役割
また、本サービスでは、地すべりや斜面変動に対して、利用者が確認したいエリアの衛星(ALOS-2*2)データを用いて解析した1~数年分の地盤変動を、約3か月間隔の時系列で表示し、その危険性を国土交通省、国立研究開発法人土木研究所の地盤伸縮計における基準、および弊社の専門技術者の地形や地すべりの変動特性等に関する知見に基づき評価します(WEBシステム画面イメージは図2参照)。日本各地の斜面や地すべり・道路・空港等で実証を重ね、実地測量データと突合することで精度検証を実施しています。
4.2022年11月 LIANAサービス開始
図2:LIANA webシステム画面イメージ
現状の本サービスは、約3か月に一度に観測される衛星(ALOS-2*2)データを用いて地盤変動を表示していますが、災害時にはリアルタイムに近いモニタリングが必要という課題が残っています。この課題を解決するため、今後、業務提携しているQPS研究所の準リアルタイムQPS-SAR画像データも活用し、よりお客様の要望に応えられるようサービスを展開していきます。
*2 ALOS-2:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
■問合せ先等
サービス紹介ページ:https://www.n-koei.co.jp/consulting/service/satellite-intelligence-service/
問合せ先:日本工営株式会社 基盤技術事業本部 衛星情報サービスセンター ml-siscenter@dx.n-koei.co.jp
(2024年3月 ニュースレター掲載)