アーバンデータチャレンジ2023 with 土木学会インフラデータチャレンジ2023 開催報告

合同会社Georepublic Japan 植田 粋美
(アーバンデータチャレンジ 2023実行委員会)
アーバンデータチャレンジ(以下、UDC)は、地域課題解決を目的として地方自治体を中心とする公共データを活用した年間のイベント開催を伴う一般参加型コンテストです。データ活用に関する全国各地の通年のコミュニティ活動(アイデアソンやハッカソンといったイベント開催等)と、一般参加を伴う公募型作品コンテストとの2つのパートで構成されています。2013年度から開始したUDCは、今年度で10周年という節目を迎えました。
毎年、データ活用を特に促進する分野を重点分野として設定しており、近年は、公益社団法人土木学会の「インフラデータチャレンジ(以下、IDC)」との共同開催により、活動の幅を広げています。コンテスト部門として、民間企業や研究機関等による地域課題解決の作品に焦点を当てる「ビジネス・プロフェッショナル部門」があることも大きな特徴です。
今年度の1年間の活動を締めくくる公開最終審査会が、2024年3月9日(土)に開催されました。対面(東大駒場リサーチキャンパス)とオンラインのハイブリッド開催で実施し、現地には250人を超える皆様にご来場いただきました。
全国から応募された191作品の中から一次審査を通過したファイナリスト19作品(一般部門:14、ビジネス・プロフェッショナル部門:5)の応募者によるプレゼンテーションが実施され、最終審査会への事前参加申込みを行った皆様によるオーディエンス投票を経て、各賞の受賞作品が決定されました。
全体の最優秀作品となる金賞には「『Knight モード』で帰らナイト。」(チーム名:Stature 168)が選ばれました。これは、歩道に対して人通り、道の明るさ、過去の犯罪情報の3つの指標を用いた評価を行い、地域の特性に合わせた安全な経路提案を行う「防犯特化型の経路検索専用のシステム」です。防犯という社会課題を起点に具体的にどうやって実装するのかの検証がされていたのが高く評価された結果でした。また、このチームは法政大学の学生3名のチームで、クオリティの高さから社会全体の情報スキルの底上げを強く実感するものでした。
ビジネス・プロフェッショナル部門の最優秀賞には「似た境遇のひとり親同士が繋がれ相談し合えるトークアプリ『ペアチル』」(チーム名:一般社団法人ペアチル 南 翔伍)が選ばれました。これは、ひとり親の経済的な困難の背景にある「望まない孤独」を解消すべく生まれたトークアプリです。ひとり親の貧困という社会課題へ向き合うために様々な視点から市場ニーズを細分化したアプローチとしてのプロダクトであったことが高く評価されました。
一方、たくさんのアイデアがある中で、必要なデータが揃わず実装が難しいという現状に直面し、オープンデータの必要性を訴える作品も多く見受けられました。アイデアをベースにオープンデータを用いて具体的に検討することにより気づきが得られることで、UDCのような場がより地域課題解決の為に必要な役割を担っていることを実感しました。
最後に、UDCの各地域拠点に送られる地域拠点賞については、今年度新設された地域拠点に送られる「地域拠点新人賞」に「広島ブロック」、活動で最も優れた地域拠点に送られる「ベスト地域拠点賞」を「宮城ブロック」が受賞されました。これに伴い、次年度のUDC中間シンポジウムは2024年秋頃に宮城県で開催されることとなります。
今年度の最終審査会の様子を収録しアーカイブ動画は、YouTubeにて公開しております。受賞作品のプレゼンテーションや受賞の瞬間の喜びが伝わる映像を是非ともご覧ください。
UDCは2024年度も開催予定です。地域拠点の活動を通じて、受賞にも繋がるような課題解決の取り組みに関われる機会もあるかもしれません。ぜひこの機会にUDCにご注目の上、イベントへのご参加をお待ちしております。
※UDCの全体イベントの情報はPeatixにてご案内しています。新着情報がお手元に届くよう、ぜひフォローください。
※全国各地(地域拠点)のイベント情報は公式HPにて随時ご案内しています。
写真:最終審査会の様子
■アーバンデータチャレンジに関する情報
公式HP:https://urbandata-challenge.jp/
公式Facebookページ:https://www.facebook.com/urbandatachallenge/
(2024年3月 ニュースレター掲載)