デジタルツインを支えるGISコンテンツプラットフォーム

ESRIジャパン株式会社 データソリューショングループ
佐藤 有羽
近年活発化しているデジタルツイン関連の取り組みにおいて、3DベースのGISデータが当たり前のように求められる状況となりました。本記事では、弊社のGISクラウドサービスであるArcGIS Onlineを通じて行っている多様なコンテンツ配信について、3Dデータや共有プラットフォームを中心にご紹介します。
1.ArcGIS Living Atlas of the World
はじめに、米国Esri社のGISコンテンツプラットフォームについて触れます。ArcGIS Living Atlas of the World (以下、Living Atlas) とはクラウドベースの地理空間情報コレクションであり、Esri社及び世界中の情報ソース (衛星画像、各国政府の統計データ、ハザード情報など) に基づくデータ、マップ、アプリ等が多数ホストされているGISサービスです。
Living Atlasの運用基盤にはEsri社のGISクラウドサービスであるArcGIS Onlineが利用されています。ユーザーはLiving Atlasを活用して、世界中の地理空間情報をワンストップで検索し、見つけたコンテンツを使って自由にマップやアプリを作成することができます。また、Living Atlasではコンテンツの配信も可能です。ユーザー(コンテンツ提供者)は、Living Atlasを通じて世界中のGISユーザー向けにプロダクトを共有することができます。
図1:Living Atlas Webサイト
2.3D都市モデル (PLATEAU)
弊社は、国土交通省が推進するProject PLATEAUにおいて整備される3D都市モデル (CityGML形式) を、ジオデータベース(ArcGISの標準データ形式ファイル)に変換するツール「3D 都市モデルデータ変換ツールv2.0 for ArcGIS」を提供しています。また、ArcGISで3D都市モデルを利用できるよう、 Living Atlasにファイル ジオデータベースに変換済みのデータや、オンラインですぐに活用できるよう変換したWebシーンレイヤーを公開しております。今後も変換済みの3D都市モデルデータを順次公開していく予定です。
図2:Living AtlasにPLATEAUのWebレイヤーを公開
3.OpenStreetMap 3D
OpenStreetMap 3D (以下、OSM 3D) レイヤーは、フェイスブック等を扱うMeta社がメンテナンスするDaylight Map Distributionをソースに使用して作成された全世界をカバーする3Dデータです。Esri社がWebシーンレイヤー (3D表現のできるWebレイヤー)としてLiving Atlasにホストしています。OSM 3Dレイヤーとしては、弊社以外にも建物データを含むOpenStreetMap 3D Buildings、樹木データを含むOpenStreetMap 3D Trees (Thematic) などが提供されています。
図3:ArcGIS ProにOpenStreetMap 3Dレイヤーを追加
4.日本及びアメリカでの活用例
Living Atlasの活用例としては、政府の公的な基盤データの公開プラットフォームの利用事例が挙げられます。
アメリカでは、USDOT (米国運輸省) はNational Address Databaseと呼ばれる米国全土の住所データベースを、NOAA (米国海洋大気庁) は気象・海象等の各種レイヤーをLiving Atlasに公開しています。
日本国内では、農林水産省統計部が、農地の区画情報データ「筆ポリゴン」のレイヤーをArcGIS Onlineに公開しています。このような取り組みの拡大によって、多くのGISユーザーが時間を費やしていたデータ加工の省力化が進むと考えております。この機会に是非Living Atlasに触れていただけたら幸いです。
弊社では、今後も最新のGISプロダクトの提供や普及活動に努めてまいります。お気づきの点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、GISデータコンテンツを紹介する無料ウェビナーも定期的に開催しておりますのでぜひご参加ください。
■ 本記事に関する問い合せ先
ESRIジャパン株式会社 お問い合わせ窓口
(2023年9月 ニュースレター掲載)