リアルタイム災害情報の提供について

一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
大伴真吾
一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(以下、AIGID)では、救難・復旧・復興に役立てていただく為にリアルタイム災害情報をG空間情報センターにて提供しています。提供される情報には、発災後に取得した被災状況・車両通行実績・行政が提供する(浸水想定区域等の)ハザード情報等があり、直近では、令和5年7月10日の九州北部から四国地方にかけて広範囲に発生した大雨災害時に提供しました。
図1:G空間情報センターWebサイト上にある『リアルタイム災害情報』メニュー
AIGIDでは、災害警戒レベル5(災害切迫)が発令、あるいは地方公共団体に災害対策本部が設置されたタイミングで、報道等による被災状況や提供できる災害情報等を鑑みながら、リアルタイム災害情報を提供するか否かの判断を行います。リアルタイム災害情報を提供する場合は、専用サイトにアクセスしやすいようにG空間情報センターのトップページの入口にリンクを貼る等、トップページデザインを「災害モード」に切り替える特別運用を行います。
また災害時、データ提供者と公開可否等の手続きをしている時間が惜しまれます。この為AIGIDでは、災害時に提供されるデータの内容や利用方法・規約・制限等を取り決めた「災害時提供協定」を事前にデータ提供者となる民間企業と締結し、より迅速な情報提供を目指しています。これに加え、行政から提供されているハザード情報を一つの地図上にすべて重ね合わせて、被災地の現状をより分かりやすく伝えるようにしています。
図2:リアルタイム災害情報のダッシュボードイメージ
これまで、民間企業が取得した航空写真はそれぞれの企業の自社ホームページで別々に公開されており、複数の情報を一か所でまとめて見ることはできませんでした。これらの情報をG空間情報センターに集約することで、情報の一元性を目指しています。
民間企業が航空機から撮影した位置情報付き写真データは、撮影後できるだけ早いタイミングでG空間情報センターに登録(アップロード)していただいており、登録された航空写真はすぐにリアルタイム災害情報のダッシュボードに反映され、どの方角からどの方向に向けて撮影した写真であるかを地図上にアイコンで表示されます。アイコンを選択(クリック)すると、図2のような写真画像を閲覧することができ、被災状況をより詳しく把握できます。
図3:航空写真画像の表示例
車両通行実績データは毎日更新されており、前日の車両通行実績がある道路を地図上に表示します。これを見ることで、通行実績が確認できない道路付近は被災している可能性があることや、通行実績のある道路を確認し被災箇所へのアプローチルートを検討することができます。なおこの車両通行実績データは、データ提供者との協定によりダッシュボード上での掲載期間が定めらており、発災時からおおむね1週間程度となっています。
このリアルタイム災害情報は、過去に提供した災害時の情報もアーカイブ・閲覧することができます。これらのデータと過去の自然現象の規模による被災事例を重ねることで、今後の防災対策・避難計画等の検討を行うこともできます(図1:G空間情報センターのトップページのインデックスメニュー『関連プロジェクト』のサブメニュー『リアルタイム災害情報』より、どなたでも過去に提供された災害情報を閲覧することができます)。
表1:過去に提供した災害情報
民間企業では、発災時の救難・復旧・復興に役立つ様々なリアルタイム情報を持っています。AIGIDでは、災害時にこのようなデータを効果的に収集・活用することで、被災地の活動支援や企業活動に役立てる仕組みの検討を行っています。ぜひ、今後のリアルタイム災害情報提供にご期待ください。
(2023年9月 ニュースレター掲載)