PLATEAU最新情報 ~CityGML3.0への移行に向けて~


アジア航測株式会社
守屋 三登志

はじめに
 PLATEAUにおける3D都市モデルの均質性と再利用性を支えているのは、標準化技術です。アジア航測株式会社(以下、当社)では、2020年のPLATEAU開始当初から3D都市モデル標準製品仕様書(以下、「標準製品仕様書」)の策定及び改定に携わり、データの標準化に貢献してきました。

 PLATEAUでは、3D都市モデルの国際標準であるCityGML 2.0を採用していますが、最近CityGMLが改定されました。これに伴い、PLATEAUでも、最新の国際標準であるCityGML3.0への移行を進めるため、標準製品仕様書の改定を検討しています。

 今回は、PLATEAUの最新情報として、CityGML3.0の改定のポイントや移行に向けたロードマップをご紹介します。

1.CityGMLの概要
 CityGMLは、都市空間を3次元の地理空間データとして記述するためのデータ構造(概念モデル)とフォーマット(符号化仕様)を定めた国際標準です。地理空間データに関する国際標準化団体であるOpen Geospatial Consortium(OGC)が策定しました。

 CityGMLには、都市を構成する基本的な地物や地物の基本的な特性、そして地物を用途に応じた詳細度で表現可能なLOD(Level of Details)が定義されています。また、各ユースケースに必要な詳細な情報を追加するための拡張ルールが定められています。

 PLATEAUでは、国際標準としての中立性や目的に応じた拡張性、また、様々な分野で利用可能な発展性等から、3D都市モデルの製品仕様にCityGMLを採用し、標準製品仕様書を作成しています。

2.CityGML 3.0の発行とCityGML 2.0からの主な変更点
 PLATEAUが立ち上がった2020年当時、最新の国際標準はCityGML 2.0でした。その後、2021年にCityGML 3.0 Part 1として概念モデルが発行され、2023年にその符号化仕様が発行されました。

 CityGML 3.0では、IoTやスマートシティといった分野での3D都市モデルの活用を推進すること、また、3D都市モデルに関連する他の標準との相互運用性を向上することを目的とする改定が行われています。本記事では、PLATEAUの3D都市モデルに特に関係するポイントを紹介いたします。

 なお、CityGML 3.0の改定内容の詳細は、「CityGML 3.0技術仕様調査レポート」をご参照ください。

(1) LOD定義の見直し
 CityGML 2.0では、LODはLOD0からLOD4の5段階に区分されていました。CityGML 3.0では、LODはLOD0からLOD3の4段階に区分されます。LODの数は減っていますが、CityGML 3.0では、屋外と屋内のそれぞれにLODが定義されています。つまり、CityGML 3.0では、屋外だけではなく、屋内の地物もLOD0からLOD3の4段階の詳細度で表現できるようになります(図1)。

 屋外と屋内のLODは独立しており、各々を組み合わせることができます。例えば、建築物の外形はLOD2で作成し、屋内はLOD0(フロアマップ)で作成することができます。逆に屋内をLOD3で精密に作成し、建築物の外形をLOD1のような簡易な箱モデルで作成することも可能です。このように、CityGML 3.0では3D都市モデルの用途に応じてより効率的かつ効果的な3D都市モデルを作成できるようになったのです。

図1:CityGML2.0及びCityGML3.0におけるLODの区分(建築物モデル)
引用:CityGML3.0技術仕様調査レポート

(2) 空間属性の統合
 CityGML 3.0では、概念モデルの見直しが行われ、データ定義の冗長性が低減されました。その一つが空間属性の統合です。

 CityGML2.0では、建築物(Building)や壁面(WallSurface)などの地物ごとに空間属性が定義されていました。CityGML 3.0では、地物ごとに定義されるのではなく、地物の上位概念に空間属性が定義され、各地物はその空間属性を継承することになりました。これにより、CityGML 3.0では、地物の空間属性について大きく2点が変わります。

 1点目は、各LODで使用できる図形表現が増えることです。例えば、CityGML 2.0では、建築物のLOD0は面でのみ記述可能でしたが、CityGML 3.0では、点、線、面のいずれでも記述できるようになります。

 2点目は、各LODで表現できる地物が増えることです。例えば、CityGML 2.0では、壁面(WallSurface)は、LOD2、LOD3及びLOD4の空間属性が定義されていました。つまり、壁面を、LOD0やLOD1で表現することはできませんでした。これに対して、CityGML 3.0では、壁面もLOD0からLOD3までの空間属性を継承しますので、LOD0やLOD1でも壁面を表現できるようになります。

 このように、CityGML 3.0では、各地物・各LODでの表現の選択肢が増え、表現の幅が広がりました。

(3) 新たなモジュール(Dynamizer、Versioning)の追加
 CityGML 3.0では、新たに4つのモジュールが追加されました。Construction、PointCloud、Versioning及びDynamizerです。

 このうち、橋梁やトンネル以外の土木構造物を表現するモジュールであるConstructionと、点群を地物に紐づけることができるPointCloudは、既に標準製品仕様書においてCityGML 2.0の拡張ルールに従い、PLATEAU独自に仕様を定義していました。そのため、これら2つについては、CityGML 3.0に移行すると、PLATEAU独自の仕様を使わなくてもよくなります。

 Versioning及びDynamizerは、地物の時間的な変化の表現するためにCityGML 3.0で新たに追加されたモジュールです。Versioningは、個々の地物の経年変化等、比較的長期間での地物の変化を管理するためのモジュールです。一方、Dynamizerは、センサーから取得した動的なデータを地物に紐づけることができるモジュールです。

 Versioningは、例えば、建築物の新築や改築、取り壊しなどの履歴や、3D都市モデルの版管理を把握したい場合に利用できます。一方、Dynamizerは、屋根に日射量のシミュレーションデータを紐づけたり、道路に人流データを紐づけたり、シミュレーションや測定により得られるセンサーからのリアルタイムなデータを3D都市モデルと連携又は統合して利用できます。

(4)新たな地物型の追加
 CityGML 3.0では、3D都市モデルに関連する他の標準との親和性が高められましたが、特に、BIM標準であるIFC(Industrial Foundation Classes)との整合性が高められました。

 具体的には、建築物の概念モデルにIFCのクラスをマッピングするための新たな地物が追加されました。これにより、BIMのデータを3D都市モデルに統合することが容易になるため、3D都市モデルにおけるBIMデータの活用が促進されることが期待されています。

3.CityGML3.0への移行計画
 PLATEAUでは、2028年度から本格的にCityGML 3.0へ移行する計画を立てています(図2)。

 今年度(2025年度)は、まず標準製品仕様書をCityGML 3.0に対応させるための仕様検討を進めます。続いて、2026年度にはその仕様の検証を行い、2027年度には試験運用を行う予定です。

 また、仕様検討の結果をもとに、CityGML 2.0で整備された3D都市モデルをCityGML 3.0に対応させるためのコンバータを開発し、PLATEAU VIEWなどの基幹的なツールもCityGML 3.0対応に改修します。これらの作業は並行して行い、利用環境の整備を進めていきます。

 特に仕様検討については、前述の通り、CityGML 3.0ではLOD定義の見直し、空間属性の統合、そして新たなモジュールや地物の追加等が行われ、より多様な3D都市モデルの整備・利用が可能になります。利便性が向上する一方で、選択肢が増えることで戸惑うことも予想されます。そのため、円滑にCityGML 3.0に移行できるように、わかりやすい標準製品仕様書への改定を目指して検討を進めています。

図2:CityGML3.0移行のロードマップ(予定)
引用:令和7年度PLATEAUコンソーシアム第1回会議資料

さいごに
 当社では 3D都市モデル標準製品仕様書だけでなく、3D都市モデル標準作業手順書等のドキュメント類の作成、3D都市モデルの構築、3D都市モデルを活用したユースケ開発等を幅広く行っております。お困りごとなどありましたら当社の問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

■お問い合わせ先
 アジア航測株式会社 https://www.ajiko.co.jp/contact
 「製品情報お問合せ」からアクセスいただき、担当者名に「PLATEAU事業担当」とご記入ください。

(2026年1月 メールマガジン掲載)

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