スマートシティの実現に向けたデータ流通を支えるサービス「データ連携基盤サービス(PDT_LINKS)」のご紹介 / 株式会社長大

株式会社 長大 情報システム部
篠田浩太郎
株式会社 長大(以下、当社)は、地方公共団体のスマートシティ実現に向けた取り組みに力を入れております。スマートシティ実現には「データ活用」が不可欠ですが、異なる分野やシステムのデータを連携できないことやデータ形式がバラバラなど、自治体で共通の課題があります。
そこで当社では、スマートシティの実現の基盤となる官民データの効率的な連携(収集・管理・提供)を支えるサービスとして「データ連携基盤サービス(PDT_LINKS)」を展開しています。同サービスはデジタル庁のデジタル地方創生サービスカタログでも紹介されており、複数の自治体への導入実績があります。
1.概要
PDT_LINKSは、スマートシティリファレンスアーキテクチャに準拠し、政府が推奨するモジュールをベースとしたサービスです。
デジタル庁が推奨するデータブローカー機能(NGSI v2 FIWARE Orion)にて実装し、「(1)相互運用性(つながる)」、多種多様なデータを取扱い分野横断による「(2)データ流通(ながれる)」、ビルディングブロック方式でのシステム構築による「(3)拡張容易(つづけられる)」の3つの特徴を持っています。
扱うデータは、空間情報をはじめ、土木・交・観光・等のさまざまな分野のデータ連携を行っています。
2.PDT_LINKSの主な機能
PDT_LINKSは、スマートシティリファレンスアーキテクチャ(内閣府)に準拠し、データマネジメント・サービスマネジメント・データ仲介機能等のデジタル庁推奨機能に加えて、共通サービスとして、APIカタログサイトやダッシュボード機能を搭載しています。
主な機能であるデータ仲介と共通サービスについて紹介します。
1)データ仲介
・API連携(データ蓄積機能、データ分散機能)
・認証/認可機能によるデータアセット、サービス、APIのアクセス権限を管理
2)共通サービス
・効率的な開発を行うためにAPIカタログとして公開
・ダッシュボード機能にてデータ可視化・分析(テキスト、表、時系列グラフ、地図表示等)

図1:データ連携基盤「PDT LINKS」
3.自治体導入の一例
1)鳥取県
・観光促進や交流人口の増加を目的として、県内自治体のイベント情報を基盤に集約して接続サービス(公式HP、公式LINE、ダッシュボード)から住民に配信
・また、大阪広域データ連携基盤と相互接続し、鳥取県イベント情報を大阪府のアプリから提供し、大阪府の万博イベント情報は、鳥取県の公式HPや公式LINEで住民に配信
2)宮崎県
・県内の道路情報や河川情報、苦情や被害情報等の土木分野のデータを基盤に集約してWebGISに表示し、職員の日常業務や災害対応で活用
3)大分県臼杵市
・市内の公共施設情報(駐車場、トイレ、避難所等)や観光協会で扱っている観光地、イベント情報、観光コース情報を集約し、観光アプリに提供
・観光アプリには、臼杵市内を走る民間バスやコミュニティバスのバス経路や位置情報等(GTFS静的・動的)を集約するとともに、バス接近情報を公式LINEから提供することで利便性の高い移動を実現
・保護者専用サイトで、スクールバスの位置情報を提供、バス接近情報を公式LINEに提供し、待ち時間0や安心安全な送り迎えの仕組みを実現

図2:バスロケーションシステム「うすきいまどこ」
4.サービス導入による効果
・データ連携基盤を用意することで、フォーマットや通信規格の統一化、API公開によりサービスとアセットの接続が容易となり、様々な分野間が保有するデータ利活用の活性化
・データ連携によるサービス高度化や新たなサービス創出を促進(イノベーション)し、都市運営の効率化・市民生活の質向上
・ダッシュボードの機能にて、データを可視化・共有することで、自治体の課題を洗い出しながら、改善に向けて新しい政策検討の材料とすることで円滑な意思決定
5.おわりに
今後も、建設コンサルタントとして地域の課題を解決し、住民が誇りをもって暮らし続けられる”持続可能なまちづくり”を「データ連携基盤サービス(PDT_LINKS)」を軸に、複数分野にて先端的サービスの提供を推進していきます。
【スマートシティの定義(内閣府より)】
グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT 等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域
■本件お問合せ先
株式会社長大 情報システム部 データ連携基盤担当
datarenkei-soudan@chodai.co.jp
(2025年10月 メールマガジン掲載)