CityGMLを作成するにあたって見落としがちな5つのポイント


一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
本間 恒二

1.初めに

 昨今、国土交通省が推し進める「Project PLATEAU」によって日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化が進められています。その中で作成される3D都市モデルはCityGMLをデータ形式として採用しています。しかし、データ作成をするにあたって原典データの取得や品質の担保で課題が出ることがあるかと思います。
 本記事では、3D都市モデルを整備される事業者さま向けに、「CityGMLを作成するにあたって見落としがちな5つのポイント」について、ご紹介させていただきます。

2.CityGMLを作成するにあたって見落としがちな5つのポイント

 以下はCityGMLの作成フローです。
 各フローの中でのポイントを順にご紹介します。


図1:CityGMLの作成フロー図
(出典:3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版、0.3作業工程)

(1) 作成制限施設の取り扱い(作成フロー図1.製品仕様の決定)

 防衛関係施設や宮内庁所管施設など、国の安全保障又は警備上の理由から作成を制限すべき地物があるため、誤って公開しないように注意が必要です。
 作成制限の規則は施設によって決められているため、事前に発注者へ確認が必要です。


表1:作成制限施設の規則
(出典:3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版、1.5.3作成制限施設の確認)

(2) 原典資料の取得に要する期間(作成フロー図3.原典資料の収集)

 一部の原典資料では、自治体(市町村)から都道府県や国など他の行政機関に取り寄せが必要な場合があります。取得に時間が要することも見据えて早めの調整が必要です。
 例えば、災害リスク(浸水)の原典資料として使用する洪水浸水想定区域の情報は、都道府県や国が保有している場合があります。
 また、災害リスク(浸水)モデルでは、浸水面に標高と水位の情報は作成するにあたり必須の情報になるため、情報取得申請の最初の時点で伝えておくとスムーズに進めることができます。


表2:災害リスク(浸水)モデル(LOD1)の取得イメージ
(出典:3D都市モデル標準製品仕様書 第4.1版、4.9.1災害リスクモデルのLOD)

(3) 原典資料の年次の違い(作成フロー図4.データ作成と品質評価)

 原典資料は基本的に最新の年次のものを入手する必要がありますが、同じ地物の原典資料間で作成年次が異なる場合は、内容の一部が整合しない可能性があります。
 属性を外形と対応付ける際には、属性の付与方法等の仕様について発注者と協議を必要とする場合があります。


図2:建築物モデルと建物利用現況の外形の違い
(出典:3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版、C.11.2.6都市計画基礎調査(建物利用現況)の付与 図 C-45を加工)

(4) 道路面を構造変化で区切る(作成フロー図4.データ作成と品質評価)

 道路は、道路の交差部だけでなく、道路構造の変化点(高架部・橋梁・トンネル)でも区切る必要があります。
 道路構造の変化点での道路の区切りは、トンネル、橋梁の図式を基に区切ります。


図3:道路構造の変化点(トンネル、橋梁)での道路の区切り方
(出典:3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版、D.3.1.2 LOD1 )

(5) 不明値を忘れずに付与する(作成フロー図4.データ作成と品質評価)

 「作成対象」かつ「不明値の入力対象」の主題属性・関連役割は、すべてのインスタンスに対して、タグが出現しなければならないルールになっています。
 そのため、「作成対象」かつ「不明値の入力対象」に当てはまる場合は、属性情報がないインスタンスについて、不明値を忘れずに付与する必要があります。
 「不明値の入力対象」の属性は、objectlistの「A.3.1_取得項目一覧」シートの「不明な場合に不明値を入力する。」の列で確認できます。
 なお、不明値は、標準製品仕様書のデータ型やコードリストの定義に従い属性の型ごとに指定された不明を表す値で付与します。


表3:不明値の入力対象の確認方法
(出典:3D都市モデル拡張製品仕様書テンプレート 第4.1版 template_objectlist.xlsxを加工)


表4:属性値が不明な場合の対応
(出典:3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版、4.3.2作業上の留意事項)

3.最後に

 今回はCityGMLを作成するにあたって見落としがちな5つのポイントをご紹介しました。
 現在は無料のオンライン講座(動画)やCityGML作成を支援するサービスなども展開していますので、これらも活用して3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を促進いただければ幸いです。
 ・PLATEAUアカデミー
 ・CityGML変換サービス

■本件お問い合わせ先
(一社)社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)CityGML変換サービス担当:本間
 E-mail:kouji.honma@aigid.jp

■参考資料
・3D都市モデル標準作業手順書 第4.1版
 https://www.mlit.go.jp/plateaudocument02/
・3D都市モデル拡張製品仕様書テンプレート 第4.1版 
 https://www.mlit.go.jp/plateaudocument/

(2025年2月 メールマガジン掲載)

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