狭義の“人流データ”と広義の“人流データ”のベストミックスを求めて

国際航業株式会社 事業統括本部
ロケーションサービス部 プラットフォームG
人流解析チームリーダー 兼 DX国土強靭化推進室 技術担当課長
渡邊 剛史(Tsuyoshi Watanabe)
現在、多くの企業から“人流データ”が販売されています。また、そういったデータのうちの一部はG空間情報センターでもダウンロードできるものもあります。さて、この“人流データ”という言葉は自然と耳にするようになり、かなり認知が広がっていると思います。しかし、通信キャリアや人流データプロバイダー各社から販売されている“人流データ”は、実は狭義の“人流データ”(≒人流ビッグデータ)と言えるもので、他にも多くの“人流データ”が存在するという見方もあります。
最近お客様から人流データに関する相談を受ける際には、私は必ずこの広義の“人流データ”を意識するようにしています。この広義の“人流データ”とは、AIカメラやパッサーカウンター(通行人を方向別に自動カウントするシステム)による計測データ、Wi-Fiパケットセンサーによる計測データ、目視計測によるカウントデータといったものです。これらは人流調査目的で設置・実施するものもあれば、チケット入場者やアンケート調査・POSデータなど、実はお客様がお持ちの業務データも多数あります。目的や環境によっては、これらをフル活用して人流調査を行うことが大事だと考えます。
また、不特定多数の来訪者を知りたいケース以外に、例えばオフィスや工場内の従業員の方の動き(働き方やコミュニケーション)など特定のヒトや特定のモノの位置情報を知りたいケースもあるかと思います。その場合には、特定の方にアプリやタグを持っていただき、その行動を取得して解析します。実は狭義の人流データを用いた調査も、実際には10,000人の人がいる中で、そのうち許諾を得たアプリユーザー約300人(300人のサンプル)の位置情報を元に母集団の行動を推計しているようなものです。その場合調査内容にも寄りますが、狭義の人流データを単に調達するのではなく、300人に協力してもらいタグを持ってもらった上で調査することもできるのではないでしょうか。もちろんタグのコストや回収など検討しなければならない要素もありますが、ご高齢者や小さなお子様を対象とした調査など、通常スマートフォンやアプリを利用していない対象を調査したい場合等には有効な手段かもしれません。
このように、人流データを単に調達するだけではなく、少し視点を変えた調査も含めて検討することが大切だと考えます。そして、狭義の“人流データ”もこれらの人流調査と組み合わせて分析することで、より本来の役割で力を発揮できます。
図:国際航業の人流ソリューション
当社は目的や状況に応じた広義の人流データを視野に入れたご提案を自治体の皆様、民間のお客様に関わらず実施しております。紙面の都合上ここでは多くをご紹介できませんが、ぜひお気軽にご相談ください。きっと目的やご予算にあった人流調査手法のベストミックスをご提案できると考えております。
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(2024年7月 メールマガジン掲載)