モノの見方を変えてみる ~アーバンデータチャレンジ2023中間シンポジウムより~

去る11月11日(土)、岩手県一関市でアーバンデータチャレンジの中間シンポジウム(以下、中間シンポ)が開催された。
この中間シンポは毎年、アーバンデータチャレンジのコンテストで地域拠点賞を受賞した地域で開催されており、今年は前の2022年に地域拠点賞を受賞した岩手拠点の活動地域である岩手県一関市で開催された。よく分からないという方向けに説明すると、「データやITを活用して地域課題の解決を目指す」活動を年度単位で行うイベントプロジェクトである。
アーバンデータチャレンジは、全国各地に「地域拠点」と呼ばれる拠点があり、その拠点が中心となって、地域でイベントを開催し、そのイベントで作成されたアイデアや作品を応募し、全国規模のコンテストを行うという、地域のコミュニティづくりと一般参加を伴う作品コンテストの2本立ての活動だ。
写真1:シンポジウム全体の様子などの写真
今回中間シンポで基調講演を行っていただいた菅原のびすけ氏(以下、のびすけ氏)の内容が大変興味深かったので独自の目線で紹介したい。
彼は現在社会人向けプロトタイピング(試作開発)のスクールを運営している。
ちょっと聞いただけでは、何のことだか分からないのだが、彼はこう説明した。
「スーパーのレジをしているおばちゃんが自分でアプリを作(って課題解決す)る」
といった世界を加速させる取り組みを行っているという。
具体的には、YouTubeを視聴していただきたいのだが、とても分かりやすく納得のいく説明であった。
G空間情報センター(以下、当センター)も、社会課題解決の為に地理空間情報を活用することを推し進めているのだが、地理空間情報業界ではない方にとっては、あまりにも抽象的で理解が困難な場面に出合うことも多いであろう。
その一因は、「自分の身に直接降りかからない(または降りかかりにくい)」為、漠然としているのだ。
しかも地理空間情報を業務で利用している人は、活用しなければ“ならない”という立場にあり、恐らく自分もピンとこないものをやむを得ず取り扱っていることに共感できる方も多いのではないだろうか?
そんなことを思い起こさせる講演内容だった。
写真2:のびすけ氏の講演写真
のびすけ氏のスーパーのおばさんの例は、とても重要かつ的を射ている。
(目の前にある自分の身近な課題すら解決できないのであれば、社会規模の課題はどうやって解決するのだろうか?)というメッセージが内包されているのかもしれない。
少なくとものびすけ氏が強く謳っているのは、「コミュニティ」の重要性だ。
一つの事柄を突き詰めていく時、自分自身の知識・知恵だけでは障壁がかなりある。しかし、内容や状況は違えど、同じような目的-ここでは自分の身近な課題解決-を持った人たちが集まることで、お互いが切磋琢磨し、協力し合える関係が形成される。これはモチベーションの持続にはとても大きく役立っているに違いない。
ここまで読んで気になった方は、一度のびすけ氏の講演を視聴されることをお勧めする。これは恐らく地理空間情報業界だけでなく、日頃の業務や学習課題を考えるのに役立つことであろう。
少しでも多くの方の心に響く何かがあれば幸いである。
■中間シンポYouTube
*のびすけ氏の講演は、00:33:25~01:01:22頃
■のびすけ氏のプロトアウトスタジオWebサイトはこちら
■アーバンデータチャレンジ2023は、現在、作品概要エントリーの応募を受付中! (12月23日締切)
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(G空間情報センター 保坂志保)
(2023年11月 メールマガジン掲載)