日本国内どこでも歓迎!産学連携ワークショップによるDX人財の育成

 アジア航測株式会社(以下、アジア航測)は2022年より、産学交流の一環として大学生向けに航空測量に関するワークショップを定期的に開催している。このワークショップは、一般の学生に認知度が低い航空測量業界がどんなものであるか、社会のどのように役割を担っているかを具体的なテーマに沿って知見を深めてもらう機会となっている。

 今回、大阪経済大学でのワークショップを取材させてもらうことになった。参加学生は経済学専攻。果たして彼らの目に航空測量がどのように映るのか、予想できない展開が楽しみである。

1.ワークショップの概要
 ワークショップは、2日間計5時間で構成され、1日目は主に航空測量事業の概要と技術説明、2日目はグループワークでディスカッションと成果発表となっている。
 今回は、“海”に関する社会課題についてIT技術で解決するというテーマ。海における社会課題とは何かを洗い出し、グループ内でディスカッション・アイディアをブラッシュアップして全体にシェアするというもの。

2.今回のテーマの背景
 アジア航測としては航空測量というイメージが強いが、海をステージとしたサービスも提供している。数年前に社内ベンチャーで立ち上がった「釣りドコ」という、釣り人をターゲットにした釣果をシェアするWEBアプリを運営している。「釣りドコ」サービスは、単なるマップではなく航空レーザ測深(ALB・Airborne LiDAR Bathymetry)で測定した精密な海底地形描写マップの上に、釣果情報をドロップするスタイルが実にユニークであり、釣り人以外にも海のアクティビティに関わる人たちにとっても興味深いものとなっている。
 海底地形撮影チームがある航空測量会社のアジア航測だからこそ実現できる、今後の動向も気になるチャレンジビジネスだ。

写真1:熱心に話を聞き入る学生達(左)。釣りドコについて熱く説明するアジア航測の後藤氏(右)

 冒頭の座学が終わり、具体的に社会課題についてグループディスカッションが始まった。
 一口に「海」と言っても、実に幅広い。海洋汚染・海面上昇・プラスチックごみ問題・海水浴場の安全維持・海難事故・漁業における産業課題や環境課題・・・。大学生の発想力の自由さはとても新鮮な切り口で、開催する企業側としても視野を広げる良い機会であると見て取れた。

3. 議論とアイディアから辿る共通項
 各グループの共通点として、彼らは定量的事実を元に議論をスタートさせていた。例えば警視庁の水難事故件数である。各グループが同じ情報を用いつつも様々な切り口で議論を進めており、それぞれがオリジナリティあふれる解決策になっていたのは大変興味深い。
 また、学生ならではの優位性として「発想が自由」であり、現実的には実現が難しい点などは、恐らく企業人であれば最初から検討材料に上らないだろう事がスラスラと出てくる。アジア航測のメンバーもその議論の様子を微笑ましく見守り、「なるほどね」とつぶやく姿が印象的であった。

写真2:海に関する課題とアイディアがたくさん(左)、真剣に議論する学生の様子(右)

4.参加した学生の感想
 ・企業のワークショップだというのでもっと堅苦しいと思っていたが、フレンドリーな雰囲気で議論も進んでいき、盛り上がった。良いアイディアも出て楽しかった。
 ・正直自分は参加したいとは思っていなかったが、内容が進むにつれだんだん楽しくなっていったので結果的に良かった。

■企業が大学でワークショップを開催する意義
 一企業の事業内容を知る機会は、学生自身が就職活動などにおいて興味を持って初めて理解が広がる。但し、アジア航測のような専門性の高い業界においては、企業努力によって認知普及活動を行っていかない限り、彼らのような学生達に知られることはないのだとはっきりと見て取れた。
 またワークショップを提供するアジア航測は、屈託ない大学生の自由な発想での議論は経年蓄積された感覚に刺激を得ているようである。これは冒頭に述べた、アジア航測の社内ベンチャー制度に着地し、新たなアイディアを生み出している理由の一つではないかと思われる。

写真3:アジア航測のスタッフと学生達のディスカッションの様子

■取材を終えて
 消費者庁の白書によると、情報収集手段の約8割はインターネットによって得られる情報であると出ている。
多くの人は、何か行動を起こす度に自身の目的や経験から情報収集の為のキーワードを引くだろう。しかし、もともと彼ら大学生には「アジア航測」も「航空測量」も検索キーワードには上ることもなかった世界にいて、外的要因によるきっかけが無い限り知る術がないのは当然である。

 アジア航測は学生達に新たな世界を知る機会を提供し、その場面を見られることが実に貴重であり大切に思っているからこそ、地道に対面ワークショップを開催し続けているのではないか。
興味が無かった学生がワークショップに参加し、結果的に楽しかったと言わしめたのはその表れだ。

 「日本国内だったら、離島でもどこでもワークショップしに行きますよ。」と、アジア航測。

 インターネットが主流のこの時代、このようなリアルコミュニケーションを大切にする企業が増え、少しでも多くの若者がより良い社会を牽引し活躍することを期待したい。



■産学連携ワークショップに関するお問い合わせ先
 アジア航測株式会社  https://www.ajiko.co.jp/contact
 「製品情報お問合せ」からアクセスいただき、担当者名に「空間情報技術センター産学連携ワークショップ担当」とご記入ください。

取材・編集:G空間情報センター 保坂志保



(2023年10月メールマガジン掲載)

マニュアル
FAQ

私たちは最適なウェブ体験を提供するためにCookieを利用しています。このサイトを引き続き閲覧することで、あなたはCookieの使用に同意していることになります。