航空レーザ測量に基づく高精度な森林資源情報等の公開について

林野庁計画課
1.取組の背景
林野庁では、デジタル技術を活用した収益性の高い林業や、ICT等を活用した木材生産・流通の効率化を実現するため、その情報基盤整備として、航空レーザ測量等による森林資源情報や地形情報のデジタル化を進めてきました。このようなデジタル化された高精度な森林資源情報等については、これまでは、都道府県単位で行政機関や森林・林業・木材産業関係者で活用されてきました。
他方で、昨今のESG投資やカーボンニュートラル等を契機とする産業界の我が国の森林への関心の高まりや、大学発ベンチャー等による森林・林業・木材産業に関するアプリ開発が増加している動向を踏まえますと、民間における全国的なデータ利用を一段と促進していくことが重要であると考えています。
そこで、林野庁は、今後の全国的なオープンデータ化の取組の検討を進めていくため、栃木県、兵庫県及び高知県の協力の下、航空レーザ測量による高精度な森林資源情報等をG空間情報センターにおいて、オープンデータ化することとしました。
図1:森林資源情報等のオープンデータ化の目的
2.公開データの概要
G空間情報センター内データ公開ページ 栃木県 兵庫県 高地県
公開したデータは以下の通りです。
(ア)森林資源量集計メッシュ
森林に20mメッシュのポリゴンを敷きならべ、メッシュごとに代表樹種、立木本数、平均樹高、材積等を集計したもの
(イ)樹種ポリゴン
スギ林、ヒノキ林、広葉樹林等の分布状況を図示したもの
(ウ)レーザ林相図
航空レーザ測量のレーザパルスの反射強度に基づき、樹種や樹冠形状の特徴を図示したもの
(エ)DCHM(数値樹冠高モデル)
立木の樹冠の高さ(立木の頂点であれば、樹高となる)を図示したもの
(オ)DEM(数値標高モデル)
土地の標高を図示したもの
(カ)微地形図
土地の起伏(凸凹)や傾斜(緩急)の特徴を図示したもの
(キ)傾斜区分図
土地の傾斜を5度単位等で区分し、図示したもの
図2:公開データのイメージ
3.データ活用のお願い
今後の全国的な森林資源情報等のオープンデータ化を進めていくためには、先行してオープン化したデータから、新たな活用実績を創出し、その効果をもって他地域の取組を後押しする必要があると考えております。
例えば、森林・林業・木材産業分野としては、UAV(無人航空機)や衛星データとの組合せによる森林資源情報の継続的な把握なども期待されますが、G空間情報センターにおいて公開することにより、他機関が公開するオープンデータと組合せ利用が進むなど、森林・林業・木材産業分野以外における活用が行われることも期待されるところです。是非とも、今回公開したデータを活用いただき、林野庁まで活用事例やご意見をお寄せいただけますと幸いです。
なお、今回の公開データに対するご意見につきましては、以下のアンケートフォームまでお寄せください。(データの掲載ページにも同一のフォームが設置されています。)
https://forms.office.com/r/rEmKsrMc7f
(2023年10月 メールマガジン掲載)