人流データを活用したい自治体政策・企画部門必見!「人流データの利活用の手引き」の活用ポイントを押さえる


株式会社価値総合研究所
事業開発部長 主席研究員
井上 陽介



 令和4年3月に国土交通省不動産・建設経済局から「地域課題解決のための人流データ利活用の手引き」(以下、手引き)が公開されました。株式会社価値総合研究所(以下、当社)は、国土交通省の事務局としてこの手引きの作成に携わりました。本稿ではその活用ポイントについてご紹介させていただきます。



1.人流データとは
 手引きで対象としている人流データは、測位衛星(GPSなど)、センサーやカメラなどから取得されるある特定範囲における人の移動や集積に関するデータです。


図1:手引きで取扱う主な人流データ(赤枠)と具体例
 出典:「地域課題解決のための人流データ利活用の手引き Ver1.0



2.人流データの利用目的とメリット
 人流データの利用分野や目的は、主に「現状把握」、「各種施策(まちづくり、地域交通、観光など)の効果検証」、「予測等の基礎資料」の大きく3つになります。その中でも、人流データの計測結果をそのまま利用しやすい、現状把握や効果検証での活用が多く見られます。また、SNSによる口コミ情報など異なる種類のデータと組み合わせて利用することにより、従来の統計情報だけでは分からなかった状況が見えて来るとともに、EBPM(=証拠に基づく政策立案)にもつながります。
 人流データを活用するメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
  ・最新の地域の実態把握が可能
  ・過去データも一部取得可能
  ・人海戦術による計測と比較して、遜色ない精度且つ費用対効果も高い
  ・既存統計情報や地理空間情報と合わせた活用が可能
  ・今後データを順次蓄積していくことで、各種根拠や指標の一つになる



3.人流データ活用のステップ
 手引きでは、人流データ利活用の基本的な流れを4つのステップに分けて解説しています。特に重視して頂きたい点は、ステップ1の「目的に適した人流データの検討」です。
人流データは取得機器や方法によって異なる特徴があります。例えば、実測値ではなく推計値であったり、計測対象者が一部の条件を満たす人のみであったりと、取得したデータをそのまま利用して良いかどうか、人流データの特徴を理解した上で選定することが重要となります。
 また、目的によっては、取得機器の設置、複数の人流データの取得、他のデータとの組合せた分析も必要となり、データ取得等に係る費用も勘案する必要があります。
 その為、人流データの利用目的を明確にしたうえで、人流データそのものに求めるもの(取得対象範囲、取得期間、取得方法、取得データ項目など)を整理し、利用する人流データを選定します。


図2:人流データ利活用事業の基本的な流れ
 出典:「地域課題解決のための人流データの利活用の手引き Ver1.0



価値総合研究所の提供する人流ソリューション
 人流データを活用する際は人流データの特徴を理解し、その利用目的や費用なども勘案しながら、総合的に選定する必要があります。
 当社では、これらを踏まえた以下のソリューションをご提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
  ・人流データの活用や分析に関する計画立案、調査
  ・人流データの取得・提供に関するルールや利用規約の策定
  ・通信系キャリアが取得した人流データを活用した分析レポートの提供
  ・通信系キャリアが取得した人流データの販売



■人流データに関する問合せ先
 株式会社価値総合研究所 事業開発部
 https://www.vmi.co.jp/jpn/contactus/

(2022年10月メールマガジン掲載)