複雑な社会をG空間データでデザインする「社会シミュレーション」の取り組み


株式会社構造計画研究所    
社会デザイン・マーケティング部
北上 靖大

 構造計画研究所(以下、当社)では、社会の構造を模擬(モデリング)した仮想空間で様々な施策を評価(シミュレーション)するという「社会シミュレーション」の手法をもちいて、社会課題の解決に向けた意思決定をご支援させていただいています。
 本記事では、G空間データを用いた社会シミュレーションの事例をご紹介します。

■ 大規模災害発生時の避難施策検討
 当社では、災害発生時の人間行動を模擬するシミュレーション技術をベースに、自治体の災害時避難に関する施策検討をご支援しています。
 検討段階においては、自治体の避難課題に応じて、災害想定、避難インフラ、避難者状況など様々な要素の影響を考慮する必要があります。例えば、天候による災害の様相の変化、時間帯による特定の場所への避難者の集中、避難経路の混雑など様々な問題がありあます。私たちは、複数のG空間情報を組み合わせた統合的な解析を行うことにより、これら複雑な避難の課題を抽出し、効果的な施策を検討することに役立てています。


図 各種災害を想定した避難計画検討支援のイメージ

■ 3D都市モデルを活用した歩行者移動・回遊行動シミュレーション(国土交通省 2022年度PLATEAU ユースケース開発)※ (株)構造計画研究所、大成建設(株) 提案共同体での実施
 3D都市モデルを活用し、「まちの賑わいの可視化」「回遊行動施策の検証」などに有効なツールの開発に取り組んでいます。Project PLATEAU 3D都市モデルを用いることで、建物用途や都市での視界を考慮した人の回遊行動を模擬することができ、イベント等による賑わい創出の施策評価に活用できます。
 今後、都市計画やエリアマネジメント(民間主体のまちづくりや地域経営)活動における企画立案・合意形成の支援、シミュレーションを活用したEBPM(証拠に基づく施策立案)の土壌形成につなげていきたいと考えています。


図 歩行者行動シミュレーション 可視化のイメージ

 まちづくり、防災、エネルギー、モビリティなど、様々な分野の複合的課題解決への取り組みが進められています。これらの課題への対処においては、相互または複数の分野の関係性を考慮する必要があり、多様なG空間データをもちいた社会シミュレーションのアプローチが今後ますます重要になると考えます。
 私たちは、社会シミュレーションをベースとした総合的なエンジニアリングコンサルティングで、これからも社会に貢献して行きたいと考えています。

構造計画研究所 創造工学部 災害時避難シミュレーション
https://iit.kke.co.jp/solutions/bousai2.html

Project PLATEAU New Service 歩行者移動・回遊行動シミュレーション
https://www.mlit.go.jp/plateau/new-service/4-020/



■本記事に関するお問い合わせ
 株式会社構造計画研究所 社会デザイン・マーケティング部
 担当: 北上靖大Mail: kitakami@kke.co.jp
 https://www.kke.co.jp

(2022年7月メールマガジン掲載)