農業DXにおけるG空間情報活用の最新動向


国際航業株式会社LBSセンシング事業部
RSソリューション部営農グループ
鎌形哲稔



 近年、農林水産省では、農業生産現場の課題を解決し、持続的な農業の実現とSDGsの目標達成を目指しています。この具体的な施策としては、データ駆動型の農業経営により消費者ニーズに的確に対応した価値を創造・提供する農業(FaaS:Farming as a Service)への変革を実現するための「農業DX構想」や、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することで、食料自給率の向上や環境負荷を軽減した農業生産を目指す「みどりの食料システム戦略」等があります。

 農林水産省は「農業DX構想」の一環として、所管する法令に基づく申請や補助金・交付金のオンライン申請ができる農林水産省共通申請サービス(eMAFF)の構築や、各種農業情報の基盤となる農地筆ポリゴンの整備を推進しています。また、これらのデータ連携や提供機能を持つ農業データ連携基盤(WAGRI)とG空間情報センターを連携する計画もあり、今後は、筆ポリゴンの閲覧や他の情報と組み合わせた横断的な可視化が可能となっていくものと予想されます。


図 eMAFFにおけるデータ連携による生産性向上イメージ(出典:農林水産省HP



 このような農業施策に関連して、国際航業株式会社(以下、当社)は、リモートセンシングを活用したスマート農業サービス「営農支援サービス 天晴れ(あっぱれ)」(以下、本サービス)を提供しています。本サービスは、農業生産現場の病害虫診断や可変施肥、生産性の向上の一助となります。更に、気候変動の影響が増えている状況下においても、本サービスで提供されるSPAD値(稲や他の作物の生育指標となる葉緑素量を示す指標)や水分率等の客観的な農業情報を活用することで、イレギュラーな天候条件に対応する営農判断が可能となります。本サービスを利用することで、ブランド作物の品質や収量を安定化できた等の報告が各地から届いています。


図 天晴れの小麦穂水分率マップ
小麦収穫期の水分状況を可視化。収穫計画の策定に活用されています。



 農林水産省が進めるDX等の施策により、農業分野における空間情報技術の有用性の認知度向上と活用の普及が進むことでしょう。当社では、持続的な農業の実現の一助となるよう、計測・解析技術の向上と農業生産現場に寄り添った農業DXに関する取り組みを進めていきたいと考えています。



■国際航業株式会社が提供するスマート農業サービスに関するお問合せ先:
 LBSセンシング事業部 RSソリューション部 営農グループ 
 https://agriculture.kkc.jp/

(2023年7月ニュースレター掲載)