オンライン電子納品システム My City Construction

オンライン電子納品システム My City Construction

【My City Constructionとは?】

受注者が電子納品成果をアップロードすることで、点群データやUAV撮影データ等の重いデータを円滑にプレビュー表示・検索することや、オープンデータについてはG空間情報センターからも検索可能な、自治体単位でも採用しやすい低コストかつ包括的なオンライン型電子納品システムです。

【My City Constructionとは?】

今年度から、工事の成果をMy City Constructionに登録を義務付けた静岡県建設支援局の増田慎一郎様、杉本直也様にお話を伺いました。

- オンライン電子納品My City Construction(MCC)導入のきっかけは何でしょうか?

杉本:静岡県では、点群データに無限の可能性があると考え、i-Constructionをきっかけに公共事業の3次元点群データを収集するとともに、オープンデータ(CC-BY)としてダウンロードできる機能を備えた、全国初のサイト(Shizuoka Point Cloud DataBase)(PCDB)を試行的に構築しました。運用開始から多くの反響がありましたが、データを利用する際に分割されたファイルを一つ一つダウンロードする必要があったり、ビューアがなければ3次元表示できないなどの課題がありました。この課題の解決と合わせ、オンライン納品やデータ流通の本格化に向けて構築を目指していたのがMCCでした。静岡県の意見も反映していただき、すでに一括ダウンロード機能は備わりましたし、可視化機能も準備中で今後が楽しみです。

- なるほど、導入というより、共同開発ということですね。すると、現在のPCDBとの棲み分けはどのようにされるのでしょうか?

杉本:静岡県のPCDBは、当初から将来的なプラットフォームができるまでの繋ぎのDBとして試行運用しているので、MCCに全ての機能が実装され、G空間情報センターや国土交通データプラットフォームから電子納品されたデータを入手したり、可視化したりすることができれば、PCDBをやめて移行したいと思いますので、MCCには期待しています。

- 現在も成果をCDに焼き付けて納品する電子納品がありますが、オンライン電子納品になるとどのようなメリットがありますか?

杉本:受注業者はCDに焼き付けなくて済みますし、差し替えも簡便になります。一方で、これまでの電子納品は、CDを納品いただいたにもかかわらず、担当者の机や書庫の中に埋もれていたり、保管管理システムに格納されたままで利活用されていないなど、データの流通性に課題がありました。特に受発注者間や受注者間のデータのやり取りに多くのコミュニケーションコストがかかっていますので、そこの削減だけでもメリットは大きいと思います。

- もともとは、電子納品を普及させ、成果を色々なフェーズで使おうというCALSの理念に基づいて行われ始めたのですよね?

杉本:そうです。CALSでは、調査・計画・設計・施工・維持管理の段階それぞれで発生したデータを使っていきましょうと謳っていますが、それがなかなか実現できていません。
増田:公共事業に携わる時に、「必要なデータはMCCから収集してください。」というような流れができれば理想だと思っています。

- 自治体側のメリットについては理解できましたが、受注業者はCDに焼き付ける手間が省ける以外に、どのようなメリットを期待できますでしょうか?

杉本:MCCに登録されたデータは原則として公開されますので、例えば、今まで自社が携わったことがない工事や業務を受注した際に、他社の類似成果を参考にすることができます。また、成果を登録することによって、データがアーカイブされていきますので、自社が過去に受注した業務一覧も見られるようになります。大企業では自社で大容量サーバやクラウド環境を用意し、アーカイブをすることができますが、中小企業は費用的に難しいところも多いです。それをMCCが担ってくれるということは中小企業にとっては大きなメリットになると思っています。

- 静岡県は、この取り組みで非常に多くの、高価なデータを公開されていらっしゃいますが、データをオープンすることに抵抗感をもっている自治体へのアドバイスをお願いできませんか?

増田:オープン化しないと、イノベーションが生まれません。オープンデータを使って、私たちの考えを超越していただくことを期待しています。また、成果の開示請求があった場合は、コンピュータの中に記録・保管されているものについても開示しなければならないということになっています。このためどんどんオープン化していかないと職員の負担がだんだん大きくなっていくと思います。

- 最後に、この取り組みは県発注の業務限定ですが、今後各市町村から発注される工事についてもMCCを使うように指導されるのでしょうか?

杉本:これまでにお話しさせていただきましたメリットを伝え、市町村にも勧めていく予定です。そのためには、コリンズ・テクリスのように歩掛の中に、「情報共有システム及びオンライン電子納品の費用を含む」というような一文を記載することと、一登録当たりの金額を明確にしておくことが必要だと思います。

- 本日はお忙しい中、貴重なお時間を割いていただき、どうもありがとうございました。

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